
もくじ
ジャパンライフの事件ってなに?

「ジャパンライフ」は1975年に設立された健康器具販売会社で、高い配当金をうたって多額の資金を集めるいわゆる「オーナー商法」を行い、経営破綻する直前には全国に80の店舗を展開していました。
具体的には、ベストやネックレスに磁石を埋め込んだものを「磁気治療器」と名付け、そのオーナーになれば元本が保証される上、レンタル収入によって年に6%の配当金を得られるとして、高齢者を中心に全国から出資を募っていました。
その後、違法な訪問販売や多額の負債があることを隠して顧客と契約を結んでいたことなどが次々と明らかになり、消費者庁が4回にわたって業務の一部停止命令を出しましたが、そのたびに契約の名目を変えて規制をすり抜け、営業を続けてきました。
しかし、3年前の2017年12月、資金繰りに行き詰まって銀行取引が停止。
東京地方裁判所はおととし、ジャパンライフの破産手続きを開始する決定を行い、現在、破産管財人の弁護士が会社の資産の調査などを進めています。
引用元:NHK news webより
オーナー商法ってなに?
Wikipediaで調べるとこのような説明がありました。
現物まがい商法(げんぶつまがいしょうほう)とは、商品を販売するが顧客に現物を渡さず、その商品の運用、管理、保管などを行うと称して、一定期間、預かり証等しか交付しない商法をいう。期間後、顧客は、その商品購入の価格以上の利益を得られるとされる。「ペーパー商法」「オーナー商法」とも呼ばれる。
代表的な商品としては、貴金属、宝石、観音竹(観音竹商法)、和牛(和牛商法)などがある。
言葉だけではわかりづらいですよね。ここからは図解で説明してみますのでもう少しお付き合いください。
今回のジャパンライフ詐欺スキーム
消費者庁が出している「いわゆる「販売預託商法」に関する消費者問題についての調査報告(令和元年8月 消費者委員会)」に詐欺スキームについての説明がありました。
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ここでの問題は消費者(被害者)は先に購入代金を支払い、それと同時に事業者に当該物品等を預ける預託契約を締結する(消費者は現物を見ることはない)。その際に事業者から当該物品等を運用(ジャパンライフのケースでは磁気治療器のレンタル)する事業を行い、その収益を原資として、配当金や一定期間の満了時に物品等を買い取るなどと説明される。
しかし実際には物品等は存在せず(又は契約上の数量よりも少なく)、当該物品等を運用する事業も行われていないことが問題となります。
過去の「オーナー商法詐欺」事例
過去の”オーナー商法”に関する事件を調べてみました。代表的な詐欺事件を7件集めてみましたが、被害総額を合計すると1兆円。一人当たりの平均被害金額も100万円程度のものから、今回のジャパンライフ事件のように2900万円と莫大な金額が動いていることがわかります。

画像:過去の報道をもとにFinancial College事務局作成
ジャパンライフの事件はどこが詐欺なの?
当初は顧客が購入した磁気治療器を預かり、別の顧客に貸し出す販売預託商法を2003年から展開。貸し出し事業でレンタル収入を得る一方、治療器の持ち主には年6%の配当を支払っていたようです。
ただし貸し出し事業は年々規模が縮小し、レンタル収入が配当額を大幅に下回ったことから以下の問題が発生。
①顧客からの契約金で配当を賄うようになった。
②事実上倒産する7年前の2010年には債務超過に陥っていた。
すでに配当を支払えなくなっていたのに、その事実を隠して新規顧客から資金を集めて既存顧客へ配当を支払っていた※。これが詐欺と判断された要因と考えられます。
※ポンジ・スキームと呼ばれる詐欺手法については、「総被害額6兆円!見抜けないと人生が破綻する投資」と言う記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
被害者はどんな人?
独立行政法人国民生活センター”「ジャパンライフ専用ダイヤル」の実施結果について”によると、被害相談者の7割が60歳以上の高齢者でした。さらに70歳以上の女性の割合だけで4割を超えていて特に高齢女性を狙っていたものと考えられます。

出典:独立行政法人国民生活センター「ジャパンライフ専用ダイヤル」の実施結果について
お金の勉強会参加者の意見

ここまでジャパンライフの事件について概要と詐欺の手法を解説しました。この解説を読んであなたはどう感じましたでしょうか?
ここではお金の勉強会参加者が感じたジャパンライフ詐欺事件についての感想や意見をもらったので載せてみます。
Aさんに聞いてみました(20代 男性会社員:FC歴半年)

詐欺の手口が巧妙化しているため、自身の知識を身につけることが必要だと改めて感じました。
その一方で、多くの手口がある詐欺すべてに対して知識をつけることは現実的ではないので何か汎用的な観点があれば知りたいなと思います。
清水(旧姓成川)さんに聞いてみました(20代 女性会社員:FC歴3年)

報道によると、契約者数は日本で10,000人以上香港では2,000人以上で被害総額は2,100億円以上とも言われています。被害者は50代以上の高齢者そのうち70代・60代が70%を占め、退職金や老後資金を出資していた契約者が多かったようですね。
また、販売預託商法という仕組みで「元本保証年利6%(!)」で勧誘をしていたようです。販売預託商法とは契約者に商品(今回の場合は100万以上)を購入させ、その商品をジャパンライフが預かり第3者に貸し出しレンタル料を契約者に配当するという仕組みでした。
勧誘も巧妙で、「ファイナンシャルプランナーが相談にのります」などと言って資産状況を記入させ資産でランク分けをしたり、今話題の「桜をみる会」の招待状などを使い信憑性を高めたり、高額出資者には旅行や健康相談なども行っていたようです。
以上から情報弱者でお金をもっている高齢者を狙った詐欺だったことがわかります。また勧誘でも高齢者(ターゲット)が信じやすい欲しい情報を提供していたことがわかりました。
私が以前に書いたブログ記事「これだけは知っておきたい35の人間心理」の人間心理が今回の詐欺事件でも影響していたと思います。
今回の詐欺事件をみていると特に「社会的証明」「偽の合意効果」「社会的手抜き」「確証バイアス」「保有効果」「内集団バイアス」が大きく作用したと考えられます。私は今回の詐欺事件から3つのことが気になりました。
①「高額な磁気治療器などの健康商品の需要やこのビジネスは成り立つのか」
その商品やサービスが世の中でどれほどの需要があって、競合他社、相場はいくらなのか、その初期投資および商品は適正な価格なのか、販売預託商法や会社の評判はどうなのかです。
②「家族や身近な人に相談しなかった、できなかったのか?」
今回の場合、契約者が信じこんでしまい独断でおこなってしまったのが大半だったのかもしれません。しかし身近な家族にでも相談していたり周りが異変に気が付くことはできなかったのでしょうか。
③「生活に必要なお金までも出資してリスク管理ができなかったのか」です。
私は、世の中のどのようなサービスにも100%安全なものはないと思っています。信じ込んでしまったのかもしれませんがリスクを許容できる範囲内ですべきだったのではないでしょうか。
Cさんに聞いてみました (40代 男性会社員:FC歴1ヶ月)

と、心配になりました。
これから判断基準を身に付けられるように、学んでいきます!
Dさんに聞いてみました (30代 女性会社員:FC歴1年)

今回の事件では「元本保証」というのが一番ひっかかるところで、もし自分が誘われたなら「なぜ元本保証ができるのか?聞いてみるのになあ、と感じました。
お金の勉強会参加者見解のまとめ
お金の勉強会参加者のみなさんにとっても、「投資詐欺」のニュースは気になるようで、さまざまな意見をもらえました。
今回ご意見をくれた清水さんのように自分で事件を分析するツワモノもいましたが、「判断基準」をどのように磨くか?は課題のようですね。
ただ、お金の勉強をしている人にとっては「元本保証=詐欺」という認識があるようです。逆に言えば今回詐欺にあわれた方は「元本保証=安心」と捉えてしまったのかもしれません。
動画で学ぶ投資詐欺の見抜きかた
ここまでジャパンライフの投資詐欺について、事件の概要とお金の勉強会参加者たちの意見をみてきました。
ここでひとつの疑問が湧いてきます。
過去に起きた詐欺事件について判断することはできるけど、もし自分が今後「投資」をしようと思ったときに見抜く自信がありますか?
投資詐欺の手口も多様化しており、あの手この手で勧誘されたときに正しい判断できるでしょうか。今後自分が被害者にならないようにするために、投資詐欺を見抜くための判断基準を持つことは大切なスキルとなります。
たった5つの問いかけで投資詐欺を見抜くことができる動画を紹介します。この動画を自分で見ることはもちろん、勧誘されて悩んでいる家族や友人がいれば見せてあげましょう。
ニュースを見ていたらまた巨額詐欺事件が世間を騒がせているようです。
お金の勉強会のセミナー中には何度も「投資詐欺にあわないためにどうすべきか?」と話をしているので、セミナーに参加されている方にとっては「私は大丈夫!」と思っているかもしれません。
ですが改めて事件を振り返る事で、「本当に私は大丈夫なのか?」「私の周り(家族・友人)は大丈夫か?」を考えてみる機会にしてはいかがでしょうか。
記事の最後には「投資詐欺を見分けるポイント」も紹介していますので、ぜひご覧くださいね。