【生涯必要な費用はいくら?】学校では教えてくれないお金の話!


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お金の教養コラム
若木
こんにちは!Financial College事務局長の若木です。

中学・高校・大学を卒業し、社会人になって本格的に収入を得られるようになります。

独身の方であれば得た収入を自分が思うように使うことができますが、結婚して家庭をもつようになると家族のためにお金を使わなければいけません。

また子どもが自立した生活を送るようになれば、次はご自身の老後の生活について考える必要があるでしょう。

就学、就職、 結婚、出産、子育て、リタイア後など、ライフステージと言われる年齢にともなう生活段階の変化は、それぞれのステージで家計が変わります。そしてその多くは、自分で考えなければいけません。

日本では学校でお金について具体的に学んだり考えたりすることなく、社会人になってから手探りでお金のやり繰りをする方が大半です。

そんなとき、少しでも学校でお金の勉強をしてくれていれば、プラスになることが多いはず。

今回は、学校では教えてくれない生涯でかかるお金はいくらなのかについてご紹介します。

なぜ学校では将来に関わるお金の話しをしないのか?

学校でお金の勉強をしない理由

 

はじめにひとつ質問です。

「お金について学校で学んだことがありますか?」

いかがでしょうか。

中学校までの義務教育だけでなく、高校・大学へと進学された方でも、生涯に必要なお金についての授業を受けたり、お金について考えたりする機会はほとんどなかったのではないでしょうか。

平成26年に文部科学省が発表しているお金の教育についての取り組みを見てみると、「消費者教育」が中心となっています。

学校局における取り組み

画像出典:文部科学省における金融経済教育の取り組みについて(平成26年11月)

 

学校は社会で生きていく力を育てていく場所であるはずが、なぜお金の話しをしないのか。

日本の学校の多くは、学力を身につけ、進学実績を意識した授業展開がなされています。

受験を意識した授業展開が行なわれるために、教科書に載っていない、受験には関係のないお金の話しは学校の授業内で扱われることはほとんどありません。

学校の先生は、教科書の内容を決められた日までに終えられるように授業を進めていくのが基本になっています。

仮に授業の進度に余裕があったとしても、日本では公の場でお金の話しをするのは「いやらしい」などといったタブーな雰囲気が漂っているため、学校でお金の話しについて授業時間を割くことはないのです。

収入の話しはモラルで避けようとしますし、ましてや収入の得る方法などを学校ですることはまずないでしょう。

このように、日本では学校でお金の話しをするのはタブーであるという習慣があるのです。

それに対してアメリカでは、学校で小切手の書き方、ビジネスの仕方、経営マーケティング、投資の仕方などを学ばせる学校もあります。

お金の感覚を身につけさせるためには、学校で専門家の講義を受け、お金について考えたり実践することが大切なのです。

 

学校でするべきお金の話!学生時代から身につけるお金の感覚

人は生まれた瞬間から死ぬ瞬間まで、お金と付き合わなければいけません。

つまり生きている間はずっとお金と関わりがあることから、生き方を身につける学校できちんとお金の教育を行なう必要があるのです。

小学生・中学生・高校生のときから、お金の教育を受けておくことで、社会人になってからのお金の使い方や関わり方が大きく変わってくるでしょう。

ここでは、学生のときにどのようなお金の感覚を身につけておくべきかみていきます。

 

物価をみて考える力を身につける

物価について考えてみてる

 

お金の感覚を身につける際に大切なのは、物価をみて「なぜこの価格がつけられているのか」を考えることです。

例えば野菜のように価格変動の激しい商品があります。

そのときに「なぜこの価格がつけられているのか」「なぜ野菜の価格が上がっているのか」を考える思考力を育てるといいでしょう。

例えば野菜価格が上がったときは「そういえば先日台風被害・水害があったな」といった社会情勢を知っておくことで価格変動を推測することが可能です。

このように価格変動を推測するためには社会情勢が背景にあることを知り、日々の授業内で社会情勢について考える力を養うことで、学生にお金の感覚を身につけさせることができます。

 

お小遣いを「使う」のではなく「増やす」

小学生・中学生・高校生に「手持ちのお金が1,000,000円あったらどうする?」と質問すると、多くの学生は「ほしいものを購入する」と答えます。

学生は自分で大金をもっていたり、稼いだりしているわけではないので、いざ大金をもてば「使う」ことを考える傾向にあるのです。

しかし後述にもありますが、社会人になり、家庭をもち、子どもをもつようになれば、お金の使い道を十分に考えなければいけません。

学生に、将来生活するうえで必要な金額を計算させることで、大金を手にしたときは「使う」より「増やす」ほうに視界が転換していくものです。

学校でお金の増やす方法の話しをするとタブーな雰囲気になりますが、中学校・高校の教科書で株式会社のしくみの話しをしますので、社会情勢を読みながら株主になることでお金を増やすことができることを伝えていくことができます。

中学校や高校では、毎日の新聞の株価のページを見させて、授業内で株価変動みることはあります。

なぜ株価が変動したのかを学生たちと一緒に考えることで、株式を利用すればお金が増えることが実感できるのです。

これらは家庭でもできることですので、保護者は子どもと一緒に株価をチェックするといいかもしれません。

家庭で学べる人生とお金の教育

子どもと家庭でお金について話すことはありますか?

金融広報中央委員会(事務局:日本銀行情報サービス局内)が2015年に全国5万人以上を対象に調査した結果、小学生低学年・中学年における「家の人とお金のことを話したことがある」割合は40%以下だったそうです。

子どものくらしとお金に関する調査

画像出典元:「子どものくらしとお金に関する調査」(第3回) 2015年度調査より

また、お金に関する行動をみると、家の人と「ほぼ毎日話をする」方が、計画をたてておこづかいを使い、釣り銭を確認し、レシートを持ち帰る割合が高いとの結果も。

親は日々お金を稼いでいる経験者としてお金について子どもに伝えることができる存在です。普段から家庭でお金の話をすることで、子どものお金に対する価値観や意識を育てることがたいせつです。

 

外食でお代当てゲームをやる

お題当てゲーム

大人は外食をするときに店の雰囲気などを窺うことで、ある程度商品価格が「高い」「リーズナブル」ということは察知できるでしょう。

しかし大人といえども、具体的な商品の価格まで当てることは難しいものです。

飲食店のメニューの価格をあてるためには、店の立地場所、雰囲気、店内に備えられている備品、メニューに使われている素材など、総合的に店の環境をみなければいけません。

店の環境が窺えるようになれば、おおよその外食のお代を当てることができます。

外食の度にお代当てゲームをやることで価格の設定され方を身につけることができるでしょう。

 

株式投資をさせてみる

子どもに株式投資をさせてみる

 

前述でお金を増やす話しをしましたが、保護者と一緒に子どもにも株式投資させるのも、子どもにお金の感覚を身につけさせる機会の1つです。

堅く考えすぎず、まずはこんなキッカケでも良いのではないでしょうか。

・外食したお店が雰囲気も味もよくてまた行きたいと感じた
・子どもが大好きなおもちゃが株式優待でもらえる

自分が好きなものであれば、興味もわいてくるもの。実際に株式を運用させると失敗することもありますが、そこから学べることがたくさんあります。

お金に失敗しておけば、将来お金をやり繰りするときに失敗しなくなるものです。

「お金を増やす」ことを考えさせると、実践的なお金の感覚を身につけることができるでしょう。

 

子どもに住宅ローンを考えさせる

子供のお金のを教える

 

日本の家庭では、保護者は子どもにあまり家計の話しをしません。

自分の家庭にはいくら貯金があって、いくら借金があるのかを把握している子どもは少ないでしょう。

家計は子どもにとって最も身近なお金ですので、月々いくら収入があって、どこにどれだけ支出しているのかを考えさせることで、子どもにお金の感覚を身につけさせることができます。

人生で大きな買い物といえば「住宅」がありますが、住宅を購入された方の多くは住宅ローンを組んでいるのではないでしょうか。

住宅ローンは何千万円もの大金を借りるわけですが、学生の中でも小学生は住宅ローンでの借金は100,000円くらいと思っている子もいます。

小学生はお金の価値そのものが分かっていませんので、それを保護者が家計の話しを交えて教えていく必要があるのです。

 

借金は悪いことではない

「借金は悪いもの」というイメージをおもちではないでしょうか。

日本では借金に対するイメージが悪く、借金をしていることが発覚したことで縁談がなくなるといったこともあるほどです。

金融機関からお金を借りることは何も悪いことではありませんし、借りたお金は期日を守ってきちんと返済すれば何の問題もありません。

むしろ金融機関は顧客にお金を貸すことで、返済時の利息分で利潤を得ることができますので、借りた人も自分の購入したいものが買えますし、金融機関も利潤が得られるので相乗効果があるのです。

借金についても、お金の感覚をとらえる際に知っておくべきことですので、子どもに借金のしくみや返済について学ばせるといいでしょう。

 

人生でかかるお金はいくらなのか?

前述のように、生きている間はずっとお金と付き合っていかなければいけませんが、社会で生きていく力を身につける学校では、具体的なお金の話しをされることがありません。

ただここまで記事をお読みいただければ、さまざまな視点からお金のことについて考えることができ、お金の感覚を身につける方法をご理解していただけたのではないでしょうか。

実際に株式を運用させると失敗することもありますが、そこから学べることがたくさんあります。
次に考えていただきたいのは、生涯でかかるお金はいくらなのかということです。

かかる金額を知っておくことで、それに合わせたお金の使い方や貯金の仕方のプランが立てられるでしょう。

では具体的に、生涯でかかるお金はいくらなのかについてみていきます。

 

生涯でかかるお金はいくら?

総務省統計局は「家計調査年報(家計収支編)家計の概要」というデータを出しており、2019(令和元)年の「2人以上の世帯の1ヵ月の家計支出」をみると以下のようになっています。

<2人以上の世帯の1ヵ月の家計支出>(2019年)※2017年データから改訂しました

2人以上の世帯の1ヵ月の家計支出

2019(令和元)年の「2人以上の世帯の1ヵ月の家計支出」

上記の金額を平均すると、2人以上の世帯の1ヵ月の家計支出は292,600円。

また、子どもがいる50~60歳代までは家計支出が多いことが分かります。

厚生労働省が発表している「2018(平成30)年簡易生命表の概況」では、男性が81.25歳、女性が87.32歳であり、男女平均では約84歳です。※こちらも2017→2018年に改訂

これに従って84歳まで生きた場合の生涯支出金額を算出すると、以下のようになります。

生涯支出金額

84歳まで生きた場合の生涯支出金額

 

30~84歳の55年間にかかる生活費は、上記のグラフから見ると193,200,000円。

なんと2億円近くの、莫大なお金が必要であることが分かりました。

現代の日本の定年は、以前の60歳から63歳や65歳に引き上げているところが増えています。

また年金の支給年齢も65歳に引き上げられていますので、老後の生活を考えると少しでも貯金があったほうが安心して生活を送ることができるでしょう。

 

子育てにかかるお金はいくら?

現代では以前と比べると、男性の初婚平均年齢が28歳、女性が24歳といわれており晩婚化が進んでいることが分かります。

内閣府の「2018(平成30)年度版少子化社会対策白書」によると、2017(平成28)年に出産した母親の平均年齢は、第1子が30.7歳、第2子が32.6歳、第3子が33.6歳となっており、女性が出産する年齢は30代となっているのです。

0歳から子どもを育て始め、保護者の手を離れる22歳までにどれくらいのお金がかかるのか、項目別にみていきましょう。

・養育費

首相官邸「第9回教育再生懇談会議事次第」配布資料6を参考にすると、以下のように算出することが可能です。

22年間にかかる1人あたりの養育費

22年間にかかる1人あたりの養育費

 

おおよその算出ですが、養育費だけでも16,400,000円もかかります。

・教育費

教育費は、子どもを教育機関に通わせるときに必要な費用です。

文部科学省「第69回生涯学習分科会」配布資料5-2をみると、子どもが大学を卒業するまでに必要な教育費は以下の通りであることが分かります。

 

<大学卒業までに必要な教育費>

大学卒業までに必要な教育費

大学卒業までに必要な教育費

 

国公立と私立ではかなりの差額があります。

とくに小学校においては、国公立と私立では約5倍弱の差があるのです。

ただ2014(平成26)年からは、公立または私立の違いや世帯収入によって支払う授業が減額される「高校の授業料無償化」が実施されました。

また2019(令和元)年からは、保育園・幼稚園の保育料が無償または減額されています。

さらに大学でも、2018(平成30)年度から給付型の奨学金が給付されるなど、世帯収入の少ない家庭に対して教育費を援助する制度が整えられるようになりました。

子どもが教育機関に進むときは、国公立・私立のどれに進むのかを決めるだけでなく、給付・減額制度を利用することで、上記の教育費をおさえることが可能となるのです。

 

生涯で一番負担が大きい住宅費

・住宅費

住宅費については、賃貸物件か分譲物件かを選択する必要があります。

とくに分譲物件については、新築、中古、一軒家、マンションというように、どの物件を購入するかによっても、かかる費用が大きく異なるのです。

国土交通省『「2017(平成29)年度住宅市場動向調査報告書」の修正について』を参考に、新築物件を購入したときにかかる費用は以下のようになっています。

新築物件にかかる購入費用

新築物件にかかる購入費用

 

上記の「新築物件にかかる購入費用」をみると、注文住宅は、土地を購入し、自分の希望通りの家を建てるためにかなり費用がかかることが分かります。

それぞれの購入金額で、注文住宅では約75%、分譲住宅では約70%、分譲マンションでは約60%をローンで借り入れをして物件を購入しているのです。

また上記の「住宅ローンの状況」をみると、50%以上の人が住宅を購入するときにローンを組んでいます。

ローンの返済年数は、いずれもおおよそ30年。

ローンの平均の年間返済額の全体平均は、約1,250,000円ですので、1ヶ月では約100,000円の返済額となります。

厚生労働省「2017(平成29)年国民生活基礎調査の概況」をみると、子育て世帯の平均年間所得が7,398,000円ですので、年間支出のうち住宅ローンの支出は、かなりウエイトを占めていること分かるでしょう。

購入物件をもった場合は、毎年固定資産税がかかりますし、維持・管理費用も自分でまかなわなければいけませんので、思った以上にお金がかかることを知っておく必要があるのです。

物件は10年も経てば水回りなどの修繕が必要になることが多く、購入物件費用にプラスして10,000,000円以上のお金が必要になることもめずらしくありません。

 

まとめ

今回は、学校では教えてくれない生涯でかかるお金はいくらなのかについてご紹介しました。

お金は一生付き合っていくものですが、学校では生涯で必要なお金の総額や、どんなところにお金を使うかの詳細まで教えてもらう機会はほとんどありません。

しかし学生のときにお金の知識や、お金の感覚を身につけさせておくことで、社会人になってからお金の使途をより深く考えることができるでしょう。

合わせて生涯でかかるお金についてもご紹介しましたが、自分が結婚する時期、自分の子どもの人数、子どもに通わせる教育機関の種別、住む物件などによって、生涯でかかるお金の金額は大きく違います。

小さいときからお金の感覚を身につけていればお金のやり繰りも上手になりますので、自分が結婚したとき、老後の生活を送るときのお金についての展望がみえてくるでしょう。

今回の記事を参考に、生涯でかかるお金について知っていただき、将来のお金の算出をしてみてはいかがでしょうか。